ウリアゲスイッチ,アタカの手の内を公開2

ウリアゲスイッチ

72号 かじ取りが大事な時

特集 アタカニュース

今のリスクとチャンス かじ取りが大事な時

01

コロナ緊急融資制度のリスク

 2023年6月現在。日本の中小企業マーケットは大きなリスクと大きなチャンスを抱えています。リスクの要因はコロナ禍のダメージとDX化。チャンスの要因はインバウンド需要が復活・長大化していく事。
 コロナ禍に政府は様々な支援策を打ち出し、中小企業を下支えしました。支援金・補助金名目の返済が不要なものは効力があったのですが、返済を伴うものは「危機の先送り」でしかありません。政府の支援策として金融機関は、3年前から「コロナ緊急貸付」を行いました。3-4千万円を低条件で貸し出し、3年間は無利息・元本返済猶予というものでした。
 弊社は借りていないので疎かったのですが、全中小企業のうち半分が利用し、その多くが返済開始期限を迎えようとしています。仮に3千万円を借入し、10年払いとした場合、元本返済額は25万円、それに約定した利息がプラスされます。コロナ前に戻りきれていないにも拘らず、コロナ前の損益に25万円以上もの月純利益を上乗せしなければ返済は滞ります。いち早くこの問題に取り組まなければなりません。月に25万円返済増とは、最低でも年間300万円(納税を考慮すれば400万円)以上の経常利益をコンスタントに出していれば可能です。しかし、長引く不景気で赤字企業はコロナ前から6-7割に上ります。
 このまま何の努力もしなければ、中小企業の約半数が資金ショートに陥ります。どうしたら良いのでしょうか?

02

コストカットによる事業消滅リスク

 さて、いかにして新規の返済に充てる利益を生み出していくか?
 従来の手法では、コストカット(経費削減)が思いつきます。旧来型の経営指導要綱では最も利用される手法です。福利厚生費・交際費・交通費・水道光熱費・通信費・アプリ使用料など、コストカットできる部分は削減すべきです。
 ですが、30年も続く不景気による業績不振で、既に多くの事業が限界まで経費削減を繰り返しています。もう削減する箇所を探すのが困難になります。
 コストカットが生きるのは売上や利益率に影響が無い範疇に限られます。にも拘らず、売上に影響する広告費・人件費・営業費なども対象にしようとします。これは問題の先送り以外の何ものでもありません。売上が下がればまたコストカットが必要になり、更に売上が下がり、やがて事業は消滅します。
 私たちは、一度事業に「のびしろ」が無いか?を探る事をお勧めします。

 弊社の「黒字化計画」は現在最速で事業成績を復活させる売上アップ支援サービスです。上図のように売上が倍になれば返済余力も充分つきます。先行きの不安はあるが改善投資出来る留保があればトライするべきです。
 資金が底を付きそうであれば、金融機関や商工会議所に相談してみてください。商工会議所経由の日本政策金融公庫マル経融資はまだまだ余裕があるそうです。是非、ご相談ください。

03

迫るDX化社会

 DX化とはITの加速進化による経済システムのアップデートの事を指します。
 例えば金銭授受を全てデジタル経由で行えば、記録から出金・入金がデータ収集でき、確定申告が自動的に作成可能になります。また、単なる会話や資料の授受であれば、簡単な打合せなら遠方へ出かけなくともビデオ会議・資料共有でOK。インターネットと進化するデータ管理を利用して、今まで社内実務やネット外部に委託してい事が簡単に片付いてしまう未来がすぐそこまで来ています。
 例えば税理士業の場合、データ入力から確定申告書生成までが人を解さずに出来るので、事務所毎にあった格差が無くなります。なので、税務申告処理中心の業務から、事務所チームの特性・特技を活かした小規模事業対象のコンサルティング業務に近くなる事が予想されます。
 また、チャットGPTの様なAIの台頭によりインターネットに網羅する多くのデータから答えを抽出する仕組みを利用して、作曲や作詞、キャッチコピーやデザインなども簡単に生成できる様にもなっています。現在のチャットGPTで「小田原市内で和食ランチの美味しいお店を探して?」と問いかけると、もう閉店しているところや全く別の場所にある飲食店が候補に挙がるなど、情報精度は高くありませんが、検索範囲を食べログデータに限定すると極めて精度の高い情報が出てきます。
 検索範囲を専門データ限定すればこのシステムの利用価値は高いのです。
 士業を含むこれからの専門業は、特技・特性を明確にし同業他社との差別化をして、更にそれを確実に訴求し、需要が維持する事を意識して進まなければなりません。

04

チャンスはインバウンド需要本格化

 様々なリスクが迫っています。時代の潮流が大きく変化している真っ只中なので致し方ありません。
 重要なことは、諦めずに生き抜くことです。そして、今何がチャンスとして顕在しているか?を把握して、しっかりと利用することです。
 コロナ5類移行に伴い、急にインバウンドが復活しました。以前から紹介しているように、日本は世界で最も興味の高い国です。先進国の多くの人が日本に好感と関心を持ち、日本に来る機会を狙っています。
 日本政府のインバウンドの目標は年間6000万人、2019年は3200万人でした。目標をクリアするためには空港の整備、宿泊の増床、国内輸送インフラの充実が課題となっています。2019年よりは良くなっているのでビザのハードルが下がれば問題なく目標到達すると思います。そして6000万人のインバウンドは日本国内に毎年20兆円以上を落とし、30年も伸び悩んだGDPや国民所得を底上げしてくれます。500兆円に対して20兆円の増加は、年率4%の経済成長に匹敵します。暗雲から抜け出し、やっと明かりが見える時が来たのです。
 中小企業はどうしましょうか?実は中小企業こそチャンスなのです。インバウンドは日本に「非日常性」を求めてきます。なので、大手事業所が提供するようなシステム化されたサービスや近代化された業務イメージは敬遠します。日本の時代劇に見たことのあるような情景・外国では見られないのんびりした田舎の風景など、インバウンドの自国に無いものを求めています。それは、100年くらい前の日本の情景・仕組みです。さっきのリスクと相対する事を言っているようですが、世界に網羅されるインターネット網は使わなければなりません。しかし、インバウンドが触れるところは「古き良き」を維持しなければなりません。つまり、フロントは奥ゆかしくバックヤードは近代化されている必要があるのです。
 外国人は他の人が知らない隠れた日本を探そうとします。見つけたらSNSで拡散し、さらなる利用者が遠い国から訪れることが当たり前の時代になるのです。
 観光業でなくとも構いません。観光を窓口に日本にお金が蓄積し隅々まで還流するのです。課題は、何が消え去り、何が生まれ変わり、何が重要視されるのか?という未来予測を確実に立てる事なのです。消え去るものには乗らず、生まれ変わる事を望み、重要視される事業を構築していくのです。

 時代が大きく変化する時、大きなリスクと大きなチャンスがあります。リスク・チャンスを把握して、リスクは最小限に留め、チャンスは最大限に活用しましょう。
 こんな話を沢山したいです。お声がけください。

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