パラダイムシフト

経済の約束事の変革 2023年7月改定

2023年現在、バブル崩壊から30年近く継続する不況の一角を成す者。それは、日本経済が永らく先送りし続けた『構造改革/パラダイムシフト』と言う大きな変革の現象です。

二十世紀の日本経済は、戦時中の軍資金調達のために画策された土地担保価値の上昇による経済拡大政策がベースにありました。実際人口も戦後から昭和末期までに倍増し、土地需要を後押ししていました。会社が赤字でも、担保価値が増える分追加借入が出来、倒産しないで存続する日本の経済構造は、欧米企業にとって実に不思議な仕組みでした。インフレと言う拡大経済と、貿易黒字をもたらす海外需要が二十世紀の拡大型経済の根幹だったのです。

昭和の後期、情報革命をきっかけにその根幹が崩れはじめました。構造改革(当時は行革と呼ばれた)が迫られても、政官癒着の利権構造から脱せず、日本はバブル景気に突入していきました。

物価と人件費が天井知らずで上昇し、日本企業は賃金の安い東アジアに生産拠点を移し始めまし た。その結果国内生産は減少し、東アジアの生産能力を育てたことで、日本経済は自らの優位性を失っていきました。

そしてバブルが崩壊し、中国の台頭も相まって、日本経済は大きなダメージを受け、現在に至っています。


 

全ての変化が終わるまで…

基本構造の変化


現在巷をにぎわしているチャットGTPを始めとするAI技術の劇的な変化。
これまで手作業で価値を訴求していた業界に大きな変革をもたらします。

校正、計算、分析などがAI化されると、関わる業種に大きな変革の波が来ます。
文書校正、翻訳、簡単な税務計算、計算式をベースにしたマーケティング分析、各種代行業など。
描画、動画、デザインなども完成度はまだまだですが、大きな脅威です。

多くは手作業だったものがDXに代行されるという感じです。
要するにフレームワーク(専門的計算書式)に頼った事業、抜きん出ない表現をベースとした作業はいとも簡単にAI化されてしまいます。

AI化・ロボット化など、利用コストは下る反面、多くの人員が削減され人余り現象が起こると思います。
(現在の人不足は、多くがコロナ禍から通常に移行したため起きているもので、長期化するものではありません)

現状ある事業はじわじわ淘汰され、考えるだけでも恐ろしい未来ですが、AI化がされれば、それを活用した新しい事業が起こるので、混乱は一時的(それでも10年ぐらい?)でしょう。

恐怖におびえず、新しい時代に期待しましょう。人間がそこにいる限り、事業需要は消えません。特に大きな付加価値を持つ事業は、特別な利益を得られる未来になるでしょう。

昭和のような景気回復は望めない

成熟経済後の低成長時代


過去の不景気との大きな違いは、しばらくは以前のような拡大型経済には戻らないという現実です。それは日本人口の減少と言う裏づけがあり、これらは需要の過渡期を過ぎた土地価格の下降を示しています。
また、バブル時の日本では、円高もあってマクドナルドハンバーガーが世界で一番高い状態にあり、日本は何もかも高価であって、貿易の衰退を示唆していました。

二十世紀は常に人口が増加し、その需要につられ、経済は緩やかなインフレを続けました。二十一世紀の日本人口は減少に転じ、物が余り、デフレはスパイラルと化し、バブルとは裏腹の長い不景気トンネルの状態を迎えました。
 

他人事ではない構造改革

パラダイムシフトの影響


パラダイムシフトとは、簡単に言えば経営者主義の売り手経済から、顧客主義の買い手経済への基本構造の移行現象です。過去の経済はプロダクトアウトとも言い、作れば売れると言う状況でした。しかし、これからの世の中はただ作るだけでは売れません。

情報改革により顧客は専門知識を吸収し、より個性化して、商品を選りすぐりするようになりました。購買手段も過去の店舗販売から、通信販売、ネット販売と多様化し、流通経済も大きく様変わりしています。

このような顧客先行の経済構造の基本的変革が起こっているのに、多くの中小企業経営者達は、二十世紀の状態のままの、機能しない事業構造を変えられず、なすすべも無く不景気の波に揉まれているのです。

買い手の変化に付いていけないと言うことは、近い将来の事業の消滅を意味します。しかし戦後60年弱続いた拡大型経済からどのように改革すれば良いかが解らないのは無理もありません。

 

昭和の成功は経験にすらならない

経営者の自己満足経営から顧客満足経営へ


1) 人口減少は需要を下げ、担保価値のあった土地神話を崩壊させる。
(今の日本の土地高騰は主に海外からの不動産投資が根底にあり、中国のバブル崩壊かアメリカのデフォルトなど投資事件をきっかけに崩壊する危険性が高いです)

2) 顧客要求主義への移行は、流通形態、販売形態、市場形態など、あらゆる経済構造の変化・進化を要する(変化しないものは尻つぼみになり、最後には消える。事実日本の事業所数はバブル期から半減した)。

3) ITの普及は、購買層には簡単に多くの情報を与え、事業者には、情報を提供する側の管理能力、表現能力を求める。これは使える者と使えない者の受益差を拡大させ、大きな問題となる。
 

好景気のチャンスがある

パラダイムシフトの良い影響


パラダイムシフトは何も日本だけの事ではありません。世界が見えない電子の線で繋がれ、情報が自由に飛び交うようになると、世界中の国々で、それぞれのパラダイムシフトが起こっています。

その中で日本にとって良い事は、日本の魅力に世界中の人が関心を持っているという事です。

日本を訪れる外国人観光客は年々増え続け、2010年~2019年で10倍近くに跳ね上がりました。2019年は3000万人を超す外国人観光客が訪れ、8兆円の消費を落としたと言われています。特に大阪は人気が高く、プチバブル状態だったようです。
コロナではほぼ0になりましたが、コロナ明けの2023年4月は、2019年の4月を上回る訪日観光客が押し寄せています。

日本人は世界中の殆どの国にビサ無しで入国できますが、外国から日本に入る場合のハードルは高いです。なので、現状の3000万人はまだほんの序の口です。
2030年には約6000万人の外国人観光客が訪日する予測を見据えてのホテル建設が進んでいます。
足りないのはホテルだけではありません。国際便の増便・国際空港の需要増や東海道新幹線も輸送量を増さなければ対応しきれません。なにより、外国人観光客の行き先は「まだ誰も知らない日本」です。つまり、小さな飲食店、体験工房、伝統品を扱う専門店などに向かいます。

2019年の訪日外国人の日本国内での平均消費額は15万円ですが、本当はもっと日本を楽しみたいと感じています。日本が安いのと日本魅力の情報量がまだ少ないということです。日本の事業がしっかりと付加価値を反映させ、適正な利益を得られれば、平均30万円の消費も現実的になります。6000万人が訪れ、各々30万円消費すれば、毎年18兆円もの外貨が日本市場に流入します。日本のGDPは30年近く520兆円前後で成長していませんが、毎年18兆円が国内市場に流れ、仮に貿易収支が0だったら、10年後のGDPは単純計算で700兆円に成長します。もっともっと、日本の魅力が世界に知られれば、日本もしっかり付加価値を訴求できれば倍の成長も夢ではありません。

日本は世界から見て付加価値を価格に反映するのが苦手なようです。世界から見た日本は付加価値の乏しい後進国の様です。日本が10年先にどのような付加価値を訴求するかが、経済の良し悪しを決めると断言します。

株式投資や仮想コインなど、お金でお金を増やすマネーゲームは限界に来ています。今後の世界は付加価値の追求による経済の膨張にシフトするでしょう。

チャンスです。


 

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